サイモンの平屋 小さな木の家
最近、ご要望いただくことが多い、平屋の家。私たちのスタジオである『ゆっくりばこ』も平屋です。その魅力をご紹介させていただきます。
まず、平屋が人気を集めている背景としては、求められるお家の大きさというものでしゅおうか。これは、平屋に限ったことではないのですが、3LDKが必要とか、決まった形ではなくその家族に合った家を自由に設計でき、もちろん不要なものはいらないわけで。必要最低限なものの中で、好きなものに囲まれて暮らす家。こう書いていくと、私たちが好きな家になってしまうかもしれませんが…。それでいて、1点豪華主義的な、これは私のこだわりを表現したい!というものを大切にした設計。素敵だと思います。
私たちが暮らす泉北ニュータウン、築40~50年のお家が多いんですが、建てたころは1階がLDKと水まわり、そして2階に各居室で子供部屋しっかり、というお家が多いんですね。それが50年経った今、もちろん有意義に使ってられるお家もあるかと思いますが、ほぼ2階は使われていなかったり、物入になってしまっていたりと、とってももったいないなと思いますよね。それだけの容積を確保するには、イニシャルコストとして建築費用も掛かっていて、また、お家ですから建築してから維持管理があります。大きな容積、箱を維持管理してゆくには、やはり外部中心に劣化があって、メンテナンスを入れると費用がかさみ…。これらは、平屋に限ったことではないんですが、本当に必要な容積の中に、本当に必要なもの好きなものに囲まれて暮らしたいものですね。
あとは、動線的なメリットも大きいと思います。家の中心であるLDKがあって、機能性が必要とされる水まわりである浴室、洗面トイレ、最近は洗濯ランドリースペースをどう考えるか、が大きなテーマになっています。そこに居室である寝室をどのようにプランし動線を考えるのか。ここで大きいのが寝室が1階なのか、2階なのか。こちらも平屋住宅に限ったことではないかもしれないのですが、当然1階で暮らしが完結したほうが生活が楽になりますよね。課題としては、それだけの敷地面積があるかどうか。市街地の狭小地ではなかなか難しい話になります。ただ、1階リビングをできるだけキッチンダイニングのスペース内でか確保できるようにする、また寝室などの居室を可変性のある間仕切りなどを採用し、単独の要素ではなく併せ持った機能を付加させることによって小面積化の工夫はできると思います。
デメリットとして、あげられるのは建築予算。いわゆる「坪単価」ということばがありますが、これは床面積1坪あたりにどれだけの建築費用が必要なのか、という数値です。単純に平屋と2階建てを比較してみると、その面積が負担する基礎と屋根が、平屋の方が少ないことになり、当然平屋の方が延べ床面積あたりの建築コストが上がってきてしまうことになります。ただ、大きな容積を確保しようとするとそうなってしまうのですが、小さな面積であると小さいということから全体のコストが下がることによって、単価的には上がるけれど総予算としては容積がちいさければそこそこを狙えるはずです。
〇ゆっくりばこ 大阪府堺市 2020年
泉保kニュータウン 旧村地域と呼ばれる地域にある築50年の平屋住宅。耐震、気密断熱省エネリノベ、また太陽光発電搭載のZEH住宅です。基本住宅ですが、申請では喫茶室付き住宅に用途変更しており、住みびらきにより、職と住が一体となって暮らしを展開しています。
〇ことことの家 大阪府堺市 2023年
泉北ニュータウンの高倉台にある平屋住宅。平屋といっても、隠し2階、ロフトがありますが、機能としては1階で暮らしが完結する動線でプランされています。道路に対しては閉めて、裏にある南側緑道に対して開く構成。お仕事部屋を斜めに配置しながら、こちらも職住行ったの平屋の家です。
〇実家のお隣、小さな家 大阪府堺市 2024年
鉄筋コンクリート造で作られたご実家。その横に小さな平屋の木の家を建てました。どちらかというと少しくらいキッチンで大半を過ごしていましたが、大好きな畑を見ながらの暮らしに。好きなものに囲まれて暮らす、大きなテーマです。
〇小さな家 和歌山県 2014年
和歌山県串本町、このあたりでは地震がくると津波も連動する可能性もあり、町内では警戒しておかないといけない地域で。潮岬という一段上がった海の見える丘に建てた避難用住宅。でしたが、作りこんでいく上に、必要最低限の用途を活用しながら暮らすミニマリスト風な暮らしに。
〇それでも小さな家 大阪府堺市 2013年
こちらも、長年鉄筋コンクリート造の家で暮らしていたお家からの住み替えて、木の家平屋住宅。堺市の市街地ながら広い敷地の中にこだわりのある平屋。2階はないがロフト空間を有意義に活用しながら、薪ストーブのあるリビングダイニングキッチンでくつろぐひと時。
〇離れのリノベ 広島県福山市 2017年
実家の横に合った平屋の木の家。これまでは納屋として使っていたが、息子世帯が暮らす木の家にリノベ。長細い家の中で、玄関を真ん中に配置し、廊下空間をできるだけなくしながら、機能的に暮らしが展開する間取り。掃き出し窓から見える街の景色は格別。
〇庭代台地域会館 大阪府堺市 2016年
泉北ニュータウン 庭代台。これまであった鉄筋コンクリート造2階建ての地域会館の建て替え計画。予算の関係もあり平屋の木の地域会館に建て替え。小さいながらも可変性を考えながら、小さな催しから大きいものまで開催できる間取り。住民が協力しながら運営することも必要となり、それが地域の力となります。